・QCストーリーに基づく活動事例




それでは射出成形を例にQCストーリーの事例を考えてみましょう。

まず最初はテーマと目標の選定です。ここではあるAという製品の不良が多くて、大きな損失が出ているということにしましょう。よってテーマは”製品Aの不良低減”ということになります。目標は不良金額のXX円からXX円への低減とか、不良率5%を1%に低減するなどになります。

続いて現状把握です。7つ道具のチェックリスト(記録するチェックリスト)を使って、不良の発生状況を調べていきます。1直分をチェックすると、640個成形して、その内シルバーが10個、異物が25個、傷が1個、汚れが1個、発生していることが分かったとします。不良率で表すと5.8%ほどの不良が出ていることになります。

この程度の結果なら、わざわざパレート図を描くまでもないのですが、通常はこのデータをもとに7つ道具のパレート図を描きます。すると不良の最大原因が異物で、次の原因がシルバーでこの二つを重点的に対策しなくてはいけないということがわかります。

次に対策案を考えるために特性要因図を作成して、異物やシルバーの原因になる要因を書き出していきます。その中で特に疑われる項目には丸を付けておくとよいでしょう。そうして丸を付けた項目を中心に、対策案を考えることにします。

特性要因図を描いて原因を想定したときに、パージの方法に問題があるのではないかという疑問が生まれました。スクリューにこびりついた炭化した材料が排出されて異物になるとか、前の成形の材料が残っていて、それが分解してガスの原因になっているのではないかと疑ったのです。そこで今度は層別したデータを取ることにしました。段替えマンBさんと段替えマンCさんによって、層別します。結果を見るとCさんが段替えしたときに不良が多いことがわかりました。

この結果から、Cさんのパージ方法が悪いため、スクリューの中の異物が除去されない状態で成形をスタートさせたため異物やシルバーの発生が起きているのではないかという仮説が立てられます。そうであれば正しいパージ方法を確立していけば不良が減るのではないかという対策が考えられます。よってこの点について対策を実施することにしました。

実際にBさんとCさんの作業を確認して違いを明確にする事から始めます。作業分析などをするときはビデオ撮影などを使うとよいでしょう。作業方法の確認をしたところ、Bさんは背圧を高くしてパージを行っているのに対し、Cさんは背圧をあまりかけずにパージをしていることがわかりました。

確認のためにCさんにパージ方法をBさんに合わせるように指導して、不良率の経過をデータ取りすると、5%発生していた不良率が目標の1%以下になっていることが確認されました。これによりBさんのパージ手順が効果があることが確認できましたので、Bさんのやり方を社内の標準として手順化し、それをすべての段替えマンに指導して歯止めとしました。

こうして製品Aの不良対策ができましたので、まとめをして情報の共有をした後、さらなる不良改善をするのか、次のテーマを選定する作業に移るかを決めていき、改善のサイクルをまわしていきます。

どうでしょうか?イメージがわきましたでしょうか?実際にはこんなに簡単にはいかないと思います。しかし流れとしては理解いただけるのではないでしょうか。