不具合対策 艶ムラ

艶ムラは溶融樹脂が金型に接触してその表面状態を転写するときの状態の差によって発生します。例えば肉厚差があったりすると肉厚部の方が長く保圧が効くのでより転写状態が良くなり肉薄部との差が出たりします。一般的に確認すべき項目は以下の通りです。

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・シボの種類によって艶ムラが目立つ時と目立たないときがあります。梨地などを例にとると深めのシボの方が目立ちにくいですし、またグロスは高いほうが目立ちにくいです。

・流動バランスも大きく影響を与える要因です。キャビごとにできるだけ差が無いようにしないといけません。なぜならどちらかにばかり流れていくという事はその反対側は流動が止まっているわけで溶融樹脂の固化が進みます。固化が進んだキャビと、進んでいないキャビでは転写する為にかかる圧力に差が出るのはお分かりいただけると思います。

・流動バランスにも関連しますが、ガス抜きの状態も転写に影響します。ガスが抜けないとミクロのレベルで樹脂とキャビの間に空気が入り込むことになり、転写しにくくなります。

・前出のように肉厚差も艶ムラの原因になります。先ほど説明したように肉厚部の転写圧力が肉薄部より高くなる為です(場合によっては逆にヒケが大きくなる為、転写しづらいことも)。

・意外と影響するのが金型温度の差です。傾斜ブロックなどに蓄熱するとその部分だけ周りより温度が高くなり転写が容易になる為、周りとの差が出ることになります。全体を低めに、冷却を長めにとることが出来れば軽減する方向になることが多いです(型温は高めがいい場合もあります)。

・射出条件面では射出の速度や保圧の大きさと時間が大きく影響します。これらは直接キャビ内の転写に対する圧力に影響を与えるからです。例えば保圧時間が長すぎたりするとゲート部の艶が変わったりします。現実的には上記に記載されている原因をできるだけ排除した上で、これらの条件を振って適切な条件設定を目指すという事になると思います。

 

艶ムラの問題は結構量産前の準備段階で問題になることが多いです。設計面でも艶ムラを事前に考慮した製品設計やシボの選定が大切になってきますので要注意ですね。

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不具合対策の考え方

 

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