保圧条件

樹脂を流す工程の射出工程に続いて、保圧工程の条件設定についてみていきましょう。

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保圧工程では射出工程で95%まで充填された材料をさらに圧力で押し込み、まず100%充填させます。その後も圧力を与え続けることにより、樹脂が冷えて縮む分の材料を補給します。

一般的にはショートショットやヒケにならず、かつバリが張らないように高めの圧力を2秒ほど加えます。その後、低めの圧力を秒ほど加えます。保圧時間は短すぎるとヒケなどの影響が出ますし、長すぎても変形が起きたりします。

またゲートシールといってゲート部の樹脂が固化した後は圧力が伝わらなくなる為に保圧は効果がありません。適切な保圧時間を決めるときには製品重量を保圧時間を少しづつ変えて計り、ゲートシールする保圧時間を確認して決定するという手法もあります。この方法では重量が増えなくなったらゲートシールしていると考えられます。

保圧工程をグラフで表すと次のようになります。

 

また保圧工程が終了した時にシリンダー先端に残った材料の量を残量(クッション)といいます。条件設定をしたときはこの残量が5mmぐらいになっているように調整します。この残量が大きすぎると圧力の伝達にロスが出ますし、大きい残量は次の射出時に射出されますので、1サイクル分余計に熱を受けた材料がキャビに流れ込むことになり成形品の品質面に影響が出る可能性があります。

逆に残量がゼロになってしまうと圧力を伝える溶融樹脂が無いことになり、圧力が全く伝わらなくなるので保圧の効果が無くなります。さらにスクリュー先端とノズルの内側がメタルタッチすることになり機械を痛める可能性が大きくなります。

保圧条件の実際の設定画面はこんなイメージです。

 

 

射出終了後に40MPaを2秒、20MPaを2秒という設定です。注意が必要なのが射出保圧時間が6秒ですので実際の射出時間が2秒だと保圧がきちんとかかりますが、実際の射出時間が3秒だと2段目の20MPaの保圧が1秒しかかからないことになります(JSWの機械の例)

次のページでは射出工程と保圧工程のまとめを説明します。

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