1.品質管理の全体像

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一言で品質管理といっても、その内容は多岐にわたります。その中で基本となる部分を簡単に分類すると次の3つに分けられます。

①品質管理の考え方:

品質管理の基礎となる部分です。

②品質を維持する活動:

現状の品質を維持していくための活動です。ISO認定や現場の作業手順などがこれにあたります。

③品質を改善する活動:

品質を良くするための活動で、一般にQCストーリーに基づいて進められます。

 

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品質管理の基礎について

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プラスチック射出成形で製品を作る作業において、その製品の品質を管理するということは、とても重要な要素の一つです。

一般に製造業ではQCDと言って、Q(品質)、C(コスト)、D(納期)をきちんと管理することが求められます。

広義の意味では、これらQCDすべてをきちんと管理することが品質管理です。また狭義の意味ではこの中のQ(品質)にフォーカスして管理することが品質管理になります。

ここでは品質管理の基礎の基礎を、少しでも理解していただくために、以下の内容に基づいて説明をしていきます。

1.品質管理の全体像

2.品質管理の考え方

3.品質を維持する活動

4.品質を改善する活動

・QC7つ道具

・QCストーリーに基づく活動事例

5.品質管理の資格

それではひとつずつ見ていきましょう。

 

成形条件の作り方トップページ

成形技能検定に関するページ

ゴムの射出成型に関するページ

 

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合格するために(1級)

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技能検定の採点基準は一般公開されておりません。ですがネット情報などを総合すると安全にかかわる作業は減点が大きいと推測されます。よって保護具の正しい使用や、指差し確認作業をきちんと行っていないと合格できないように思います。

さらにオーバーパックやシリンダー温度上昇していない時のPCパージ、シリンダーが空の時の高速回転など、機械や金型にダメージを与えかねないような作業も避ける必要があります。これらは安全と同様大きな減点か、場合によっては試験の即中止になってしまいます。

また製品の欠点はその度合いにより最大1.5点ぐらいではないかと推測されるのですが、製品の数が合計80個と多いことから減点が大きくなりがちです。さらに2級より1級のほうが製品品質に対する要求が高いとの話ですので、製品の品質は合格に大きく影響するものと考えられます。

最後のパージはこれもネット情報ですが、最大5点減点されるようですので、大事なポイントでしょう。

そしてよくある不合格原因に時間内に終わらなかったというものがあります。知人に最後の1分でレポートを提出して合格したという人がいますので、1分1減点ではないと推測されます。ざっくり2-3分で1減点ではないでしょうか?

 

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合格するためのポイントをまとめると

①安全確認をきちんと行い、指差し確認で検定員にアピールする。

②機械や金型にダメージを与えるような作業を行わない。

③製品の品質は注意する。

④最後のパージもきちんと行う。

⑤延長も含め時間内に終了する。できるだけ早くが望ましい。

といったところでしょうか。

 

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レポート作成と提出(1級)

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・PSからPCへの色替え時の昇温時ににPS材料の重量とPS製品の寸法を測定

・PCからPEへの色替え時の降温時にPC材料の重量とPC製品の寸法を測定

ここまでの流れで上記の作業を実施しているはずなので、あとは計算するだけです。

 

①寸法測定結果から収縮率を計算する

成形収縮率=(金型寸法-成形品寸法)/金型寸法

 

②重量測定結果から歩留まり率を計算する

歩留まり率=(成形品の総重量/材料の使用量)/100

 

③名前や受験番号の記入を確認する

 

最後に成型機や机周りを確認して、検定員にレポートを提出して終了報告をしましょう。その後、掃除をしっかりと行ってください。

 

※製品を測定するときには、ノギスはきちんと両手で保持して作業をするという点に気を付けましょう。

 

 

 

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PCをパージしてPEに置き換える色替え作業(1級)

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PCで成形が終了したらPEに置き換えます。

最初に残ったPCの量を計ります。これはレポート作成のために必要です。ホッパー下のシャッターを閉じて、数回パージをしてホッパー下部の材料を減らしてから、ホッパーを取り外し材料をジョッキなどに受けます。もし残りの材料がほとんどないようでしたら、そのままパージしてしまうのも手ですね。

ホッパーを戻して、次にシリンダー内のPCを抜きますが、シリンダーの温度はまだ変更してはいけません。PCをまず抜いてしまいましょう。

PCを抜いた後、PEを投入して最初のパージは無背圧低回転で計量して低速低圧で射出します。

その後、射出は高速高圧に切換え、計量は高回転で背圧ありにしてパージを繰り返します。

数回パージをしたら(PCがほぼ抜けたら)シリンダー温度設定を200度ぐらいまで下げましょう。あわせて型温設定も20度ぐらいまで下げましょう。

温度設定を下げたら、PC材料の残りの重量を計ったり、PC製品の寸法を測ったりしてレポートに記入しましょう。

必ず手動モードでパージします。そうしないと背圧がかからず材料替えが上手くいきません。

パージが終了したらショートショットを二つ作ります。そして検定員にパージ終了報告をします。この時、無背圧に設定してパージを2回ほどしてから行うとパージした樹脂がきれいに見えるそうです。これは背圧がかからない状態で計量するため、スクリューやシリンダーにびりついているPCなどををひっぱてこないためだと思われます。

 

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いくつかポイントを整理しておくと

①PCを抜くまでシリンダー温度を下げない(スクリューに高負荷がかかり機械を壊す可能性がある危険な作業とみなされるかもしれない)。

②PEを入れて最初のパージは低速無背圧で行う(これも空のシリンダーをいきなり高速で作動させるとスクリューにダメージを与える危険な作業とみなされる可能性がある)。

③PEに置き換えたらシリンダー温度を下げる(下げないと材料の置き換えがうまく進まないと思います)。

④パージ作業は”手動モード”で、”高速背圧あり”で実施すること(手動モードでないと背圧がかからない、背圧がかからないと材料替えがうまく進まないです)。

 

 

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成形条件出しを行い、PCのサンプルを作る作業(1級)

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パージが終わったら、成形用PCをホッパーに投入して成形に入ります。最初にショートショットから成形していって、PCのサンプルを40個成形する作業になります。基本はPSの成形と同じですが、注意する点を以下に記載します。

シリンダー温度をまず最初に設定して、条件設定はシリンダーを昇温させながら行います。 PCの成形温度は300度ぐらいでしょうか。

シフト成形なので糸切りを忘れない。

射出プロファイルの設定は基本的にPSと同様で問題ないはずですが、側面にタテ筋のようなウエルドラインが出ます。ウェルドラインをよくするために10%ほど速度を上げるといいかもしれません。ウエルドラインの長さは5mm以下に抑えることが求められているそうです。

温度が高いので、射出保圧時間や冷却時間はPSより長めになると思います。不良モードと原因はPSと同じですが、スリキズはあまり気にしなくて良いと思います。

1級では一番厚肉の部分以外のヒケは軽度の減点になるようです。よってしっかりと保圧をかけなくてはいけないのですが、いきなり保圧を大きくしてオーバーパックさせると金型が開かなくなって一発で試験不合格となってしまいます(実は一番最初に2級を受けたときにやってしまいました 泣)。

少しづつ保圧を大きくしていきながら、金型が開く時の様子をよく観察しましょう。だんだんギューというような感じで開くようになってきますので、そう感じたらそれ以上追い込むのはやめましょう。

 

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PSをパージしてPCに置き換える色替え作業(1級)

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この部分は2級と大きく異なります。

まず型温を上昇させます。85度から90度ぐらいで固定側を5度ぐらい高くしておきましょう。

最初に残ったPSの量を計ります。これはレポート作成のために必要です。ホッパー下のシャッターを閉じて、数回パージをしてホッパー下部の材料を減らしてから、ホッパーを取り外し材料をジョッキなどに受けます。もし残りの材料がほとんどないようでしたら、そのままパージしてしまうのも手ですね。

PSを排出し終わったら、ホッパーを取り外してエアできれいに掃除しましょう。ホッパー口もきれいにしておかないといけません。

ホッパー周りの掃除が終わったら、シリンダー温度を上げましょう。一気に設定温度まで上げたりすると冷間起動防止がかかったりして捜査できなくなってしまいますので、ここでは270度ぐらいまで上げるといいでしょう。

なお、シリンダーがある程度昇温するまでPCを流してはいけません。PCの溶融温度はPSに比べてかなり高いので、シリンダー温度が上がる前にPCを流すとスクリューが折れる可能性があります。

昇温に時間がかかるため、この間にレポート作成を少し進めておくといいでしょう。具体的には残ったPS材料の重量を量り、PS製品の寸法を計りレポートに記入しておきます。

ある程度温度が上がったら(シリンダー先端側が設定した270度ぐらいになってきたら)、PCを投入します。最初のパージは無背圧低回転で計量して低速低圧で射出します(低速ヨシ!)

その後、射出は高速高圧に切換え、計量は高回転で背圧ありにしてパージを繰り返します。必ず手動モードでパージします。そうしないと背圧がかからず材料替えが上手くいきません。

上記のような点に注意して、色替え用に準備したPC材料をすべて使いきるぐらいまでパージします。

 

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事前準備(1級)

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まず事前に準備する材料に関してですが、試験に使える材料はグレードがいくつか指定されてますので、その中から選ぶ必要があります。

更にトータルで11kgとなってますので、割合も自分で決める必要があります。以下にひとつの例として記載します。ここはとても重要です。

・色替え用PS:  3kg弱

・成形用PS:   3kg強 あわせて6kgほど

・色替え用PC: 2kg弱

・成形用PC:  3kg強 あわせて5kgほど

この範囲からトータル11kgになるように準備すると良いと思います。注意点は最初の色替えでかなり材料を使う事を理解しておくと良いと思われます。

これらの材料を事前にPSは80度で3時間以上、PCは120度で5時間以上乾燥させてから、それぞれ4つを個別に米袋などに入れて、さらにポリ袋などでくるんで試験会場に持ち込みましょう。

乾燥させるときには異物の混入に注意しましょう。両方ともナチュラルの材料なので異物は一発で製品が不良になります。またそれぞれの袋に材料グレード名、重量を記載しておきましょう。試験会場で材料グレードを確認されて計られますのできちんと準備しましょう。

また当然ですが服装なども大事です。地区によって多少異なるようですが、長袖の作業服、作業帽、ヘルメット、軍手、製品取扱用の綿手袋、安全靴は準備しておくべきでしょう。レポートの計算もありますので電卓(関数電卓はNG)も一応準備しておいたほうがいいかもしれません。受験会場の準備物をよく確認しておきましょう。

スマホなどの持ち込みやメモ書きなどの持ち込みはもちろんNGです。

それ以外に筆記用具、クレーンと玉掛け免許、受験票、試験問題が必要です。クレーンと玉掛けは無くても受験はできます。その時は補助作業者がクレーン操作をしてくれます。試験問題は事前に送付されてきますがメモ書きなどは厳禁です。

 

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成形技能検定1級を目指して

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無事、技能検定2級に合格された方は、次は1級を目指しましょう。基本的な試験内容はほぼ同じですが、実技試験において、次の点が異なります。

①材料がPSとABSの組み合わせから、PSとPCの組み合わせになる。このためPS成形後シリンダー温度と金型温度を大きく上昇させる必要があることと、PC成形後、きちんとPCをパージしてからシリンダー温度と金型温度を大きく下げる必要があります。この点で2級に比較して難易度が上がっていると思います。

②次に2級では20個ずつのサンプル成形でしたが、1級では40個ずつになります。製品に不良があると当然減点になりますから、すべての製品に不良があったと仮定して、それぞれ0.5点減点されたとすると、2級では20点の減点ですが、1級では40点の減点になってしまいます。また品質要求は1級のほうが高いようです。この辺でも難易度が上がると思います。

③最後に簡単なレポート作成があります。難しくはないですが、製品の寸法を図ったり、使用材料に対する収量を求めたりしなくてはいけませんので、一定の時間を取られます。きちんとレポートを時間内に提出しないと、当然時間切れでアウトとなります。

④制限時間は2級では最大180分、1級では最大220分です。その差は40分しかありません。製品サンプルの数の差だけで40個あり、サイクル1分とするとそれだけで40分使ってしまいます。シリンダー温度の調整やレポート提出を考えると、よどみなく、てきぱきと、安全に作業をこなしていくことが重要です。

このあたりの2級と1級の試験項目の差が、1級の難易度を上げているところではないでしょうか。学科は過去問をきちんと解いていれば問題ないと思いますので、実技でほぼ結果が決まるといって過言ではないでしょう。合格率は30%ぐらいではないでしょうか。作業手順を何度も繰り返してイメージトレーニングするのが合格への近道だと思います。

それでは2級と同じように、一つ一つ項目を追ってみていきましょう。

 

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事前準備(1級)

金型を取り付ける作業(2級と同じ)

PEをパージしてPSに置き換える色替え作業(2級と同じ)

成形条件出しを行い、PSのサンプルを作る作業(2級とほぼ同じ)

※1級では一番肉厚が厚いところ以外のヒケは減点されるらしい。

PSをパージしてPCに置き換える色替え作業(1級)

成形条件出しを行い、PCのサンプルを作る作業(1級)

PCをパージしてPEに置き換える色替え作業(1級)

金型を取り外して片付ける段取り作業(2級と同じ)

レポート作成と提出(1級)

合格するために(1級)

 

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金型を取り外して片付ける段取り作業

パージの終了報告を行った後は射出シリンダー側はもうさわる必要はありません。後は金型を下してレポートを作成するだけです。

ここも安全に関する点がとても重要視されますので、丁寧で素早い作業が必要です。注意する点を以下に記載します。

 

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・プラテン内で作業をするとき(クランプ締めや配管など)は必ずモーターを停止すること。

・水抜きは金型を閉じた状態で行う。キャビ内に水がかかるのを防ぐためです。

・水抜きをしたら飛び散ったりした水は即座にきれいにふき取りましょう。機械や金型を大切に扱わないといけません。

・金型のクランプをはずすときには工具などを落とさないように気をつけましょう。

・金型を下ろしたらプラテンと金型の拭き掃除をしましょう。

・イジェクターロッドの取り外しを忘れないこと。

・成型機下部の安全扉の戻し忘れにも注意が必要です。

レポートは成形品の長辺と短辺を測定して寸法を記載します。ノギスの使い方は練習しておきましょう。また有効桁数は間違えないように。

レポートを提出したら試験は終了です。きちんと片づけ清掃を実施してから、検定員にお礼を言って帰りましょう。

 

以上で技能検定に関する説明は終わりです。受験される方は頑張ってください!

 

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