ここまでは樹脂を溶かす、流す、固めるという基本の条件の設定の仕方や考え方を説明してきました。でも射出成形機の条件設定はそれだけではありません。その他の条件についても見ていきましょう。
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まずは金型開閉条件の設定です。
型開き: サイクル短縮と金型保護の視点から設定します。
ガイドピンなどが抜けるまでゆっくり開き、その後速度を上げ、
型開位置を正確にしてチャックミスなどを防ぐため最後に速度落す
型閉じ: 金型保護圧をきちんと設定することが大事です。
ガイドピンなどが入る前に速度を落し、その後保護圧へ
※成形サイクルを短くするためには、この金型開閉の時間を短くするということはとても重要です。一方であまり無理をすると成型機と金型の両方に負担をかけて寿命が短くなる可能性があるので注意が必要です。
続いてエジェクターの条件設定です。
突出し: 製品はコアに張り付いているのでそれを優しく剥がすためにゆっくりと突出し、その後スピードを上げます。
戻し: すばやく戻して、最後スローダウンする。スローダウンしないと傾斜ブロックなどはコアと毎回衝突する状況になり、破損の可能性が高まります。
また突出し量は金型の許容突出し量を上回らないように注意が必要です。
※この突き出しと戻しの動作もサイクルに影響します。ですのでできるだけ速くが基本ですが、あまり無理をすると金型が壊れます。私は傾斜ブロックが壊れた事例を経験しています。
続いて型締め圧の設定の考え方です。
金型をどれだけの力で締め付けるかを決める条件に、型締め圧というものがあります。
従来は投影面積に射出圧をかけて算出されていましたが、近年では流動解析でPC上で計算することが多いです。
型締め圧設定のポイントとしては、射出圧力に耐えられる範囲で、できるだけ小さい値を設定するのが望ましいです。ガス抜けがスムーズになることと、成形機の使用電力を抑え、寿命を延ばす効果があります。
一方で型締め圧がギリギリすぎると、何かの拍子に過大な射出圧がかかり、バリが張る原因になりますので注意が必要です。
それでは次ページから実際に成形条件を一から作る手順を説明していきます。
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