成形機の基本操作

成形条件を作る為には当たり前ですが、実際に機械が操作できなくてはなりません。ここではJSWの成形機を例に基本的な操作方法を説明します。

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まず操作モードという考え方があります。

 

写真右側に並んでいる四角いボタンの一番上の列になります。

左側の○マークのボタンが切モード、その右が準備モード、その次が手動モード、そして半自動モード、自動モード、最後が自動のスタートボタンになります。それぞれの説明をします。

① 切モード: これは操作ができませんという状態です。何かの異常などで成形機が止まってモーターが止まってしまうと、一旦この“切モード”にしないとモーターがONにできません。面倒くさいかもしれませんが“切モード”でない状態でモーターがONになると成形機が急に作動して事故などが起こることを防ぐ仕組みですので仕方がありませんね。

② 準備モード: 入力されたパラメータなどに関係なく、低速で成形機が動作するモードです。ただし型開閉位置などのパラメータは有効です。金型交換などの段替えの時に使います。

③ 手動モード: 入力したパラメータ通りに成形機が動作します。ただしあくまで手動ですから人がスイッチを操作して成形機を動かすモードになります。

④ 半自動モード: 成形機が半自動で作動します。ここでいう半自動は、スタートさせると型閉じから始まって成形動作を行い、最後に型を開いて製品を突き出すという動作をして成形機が止まります。つまり1サイクルだけ成形機が動作するというモードになります。

⑤ 全自動モード: 量産などで用いるモードで、一旦スタートさせるとずっと成形を続けます。もちろん異常があれば止まりますし、生産数量を設定しておけば設定数量の成形が終われば自動で止まります。

 

そして動作させるためにいくつかのスイッチがあります。

左上のスイッチが型開閉スイッチ、その右が射出装置の移動スイッチ、左下のスイッチがイジェクターの突出し戻しスイッチ、その右が射出・計量スイッチ、その右のボタンがサックバックボタンです。それぞれの説明をします。

① 型開閉スイッチ: 可動側プラテンを動作させて、金型を開閉するためのスイッチです。

② 射出装置移動スイッチ: 射出装置自体を前後させるスイッチです。

③ 突出し戻しスイッチ: イジェクターを突出動作と戻す動作を行うスイッチです。

④ 計量・射出スイッチ: スクリューを回転させて計量を行ったり、前進させて射出を行うスイッチです。

⑤ サックバックボタン: サックバック動作を行うボタンスイッチです。

これらのモードとスイッチを用いて成形機を作動させることになります。

例えば金型の動作確認では低速の準備モードに設定しておいて、型開閉スイッチで金型を開いたり閉じたりして問題がないか確認します。その後金型を開いた状態にして突出しスイッチでイジェクターの動作を確認したりします。

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射出成形機の動作について

次に射出成形機の動作を順に追って、どのような工程が行われているかを確認しましょう。

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成形機は型締装置と射出装置で構成されているため、それぞれの工程がどちら側の装置で行われているかというのも理解する必要があります。それでは順を追ってみていきましょう。

①型閉じ : 成形機が金型を閉じる(型締め装置側の動作)

②型締め : 閉じた金型に圧力をかけて保持する(型締め装置側の動作)

③射出 : 計量しておいた樹脂を金型内に射出する(射出装置側の動作)

④保圧 : 射出終了後に継続して材料に圧力を加える(射出装置側の動作)

⑤冷却と計量 : 冷却は金型を閉じたまま一定時間保持する事。この間に次の射出に使う材料を計量する(冷却は型締め装置側、計量は射出装置側の動作、一般的には冷却が終わっても計量が終わらないと次の工程には進めない)

⑥型開き : 金型を開く(型締め装置側の動作)

⑦突出し : 製品を突き出して取り出す(型締め装置側の動作)

この一連の工程を繰り返して製品は作られます。成形条件を考える場合はこの流れを頭に入れておかないと混乱するのでよく覚えておきましょう。

 

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1.射出成形ってなにしてるの?

射出成形とはペレットと呼ばれる樹脂材料を

  1) 溶かして

  2) 流して

  3) 固める

という作業を射出成形機と金型が行い、成形品という製品を作っています。

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上の図は射出成形機のシリンダー部を簡単に図解したものになります。この図を確認しながら以下の説明を見てください。

まず 1) 溶かして については、樹脂の材料であるペレットがホッパーから投入され、それがスクリューの回転でシリンダー先端部側へ運ばれます。

シリンダーはそれぞれの樹脂に適した温度にあらかじめ設定されていますが、ペレットがスクリューの圧縮部というところを通るときにシリンダーから熱を受けながらペレット同士がこすりあわされて発熱し(せん断発熱)、溶けていきます。

この溶けた樹脂はスクリューヘッドを乗り越えてシリンダー先端部にためられて次の射出に使われる材料となります。この一連の工程を計量工程と呼びます。

次に 2) 流して については、計量工程で溶かされてシリンダー先端部にためられた樹脂をスクリューを前進させることにより金型内へ流し込んでいく工程で、射出工程と保圧工程のふたつに分けられます。

最後に 3) 固める については、金型は温調機で一定の温度に保たれていて、金型内に流れ込んだ溶けた樹脂は金型に熱を奪われて固まっていきます。冷やされて固まって成形品が完成するという工程になり、この工程は冷却工程と呼ばれます。

 

この 1)溶かして 2)流して 3)固める という作業を射出成形機が行うために、機械にどのように動作するかを指示するパラメーターを入力してやる必要があります。この入力されたものがいわゆる成形条件になります。

 
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