2)樹脂を流す

続いては樹脂を流す工程です。この樹脂を流す工程は、成形品の品質や寸法、外観に影響を与えることが多い重要な工程になります。よって条件を作るセオリーをしっかりと理解する必要があります。

スポンサーリンク


樹脂を流す工程はふたつの工程に分かれていて、それは射出工程と保圧工程と呼ばれます。

射出工程は金型の中に樹脂を流し込むメインの工程で、その条件は樹脂を “どの程度の量” を “どの程度の速度” で流し込むかを決めます。この射出工程の条件は成形品の品質に大きく影響することがあります。よって射出プロファイルと呼ばれますが、ゆっくり流して途中から早く流すなどの速度制御を行います。本サイトでは後ほど基本の2段の速度制御を用いた射出条件を説明しますが、場合によっては5段ほどの多段で速度制御する場合もあります。

保圧工程では射出の後に材料にかける “圧力の大きさ” と “時間” を決めます。金型に高圧の射出圧でダメージを与えることを防ぐために保圧に切り替えて製品を充填し、その後、樹脂は冷えて固まると収縮といって体積が小さくなる為、その分を補充してあげる工程です。こちらも後ほど基本の2段の圧力制御を説明しますが、場合によっては多段制御する場合もあります。

それでは、次のページから射出工程と保圧工程の条件設定について説明していきます。

スポンサーリンク


 

TOP

1)樹脂を溶かす

繰り返しになりますが、樹脂を溶かす工程では ①シリンダー温度 ②計量条件 ③サックバック条件を決めていきます。それでは順番に見ていきましょう。

スポンサーリンク


①シリンダー温度

樹脂はシリンダーの中で溶融されます。そこでまずシリンダーの温度を設定をします。

 

最初に使用する材料の推奨温度に基づき、計量部の温度を設定します。

※材料グレードにより違いがあるので、実際はその材料の推奨値を確認ください。その中でも低めから設定していくのがお勧めです。

に、下記表に従って他の部位の温度を設定していきます。

PPを例にした実際の設定画面はこんなイメージです。

 

②計量条件

シリンダー温度を設定したら、計量条件を設定します。

計量とは次の成形で使用する樹脂材料を溶かして計る工程です。

樹脂をどれだけ計るか:         計量位置

どのくらいの速度るか:       回転速度

どのくらいの圧力をかけておくか:   背圧

という3つの条件を決めていきます。

計量位置の設定は必要と思われる溶融樹脂量より50%ほど大きく設定します。仮に成形品の設計重量が判っているとします。そうしたらその重量に1.5を掛けます。そしてそれを覚えておきましょう。ここでは仮に150gとします。

そうしたら次に実際の成形機で適当な計量位置を入れてパージを行います。そしてパージした樹脂の重さを計りましょう。それがおよそ150gになるところが最初に設定する計量位置になります。

なぜ1.5倍もの大きな値を設定するかですが、この後で出てくる射出と保圧の条件を設定するときに計量位置を調整しないで作業ができるようにするためです。射出と保圧条件を決めたのちに最後に計量位置を調整するという手順を踏みます。

 

次に回転速度と背圧をどのように決めるかを考えます。

背圧は材料によってある程度目安がありますのでその目安に沿って設定します。最初はかなり低めに設定しておいて(下の図では0.3MPa)計量条件を作っていく間に少しづつ上げていくのが良いと思います。

一般的には流動性が高いPPやPAなどは低め、そうでもない材料は状況に応じてかなり高くすることもあります。あくまで目安と考えて状況に応じて大きく振ってみることが必要な条件だと思います。一般的には3-10MPaぐらいを設定します。

 

続いて回転数を決めます。

後ほど出てくる冷却時間より、5秒ほど計量時間が短くなるように設定します。(冷却時間が終わっても計量が終わらないと次の工程に進まないためです)

実際に計量を行ってみて、どの程度時間がかかるかを確認し、回転数を調整していきます。例えば冷却時間の設定が30秒であれば計量時間が25秒になるように回転数で調整します。

実際の設定画面はこんなイメージです。

回転数60rpmで背圧0.3MPaの条件で200mmまで計量するという条件の例です。

 

③サックバック条件

溶かす工程最後の条件はサックバック条件です

サックバックとは、先ほどの計量条件で背圧という圧力をかけながら計量するため、最後に行う圧抜きになります。一般に5mm程度を1ほどかけて行います。

溶融粘度の高い材料ではゆっくりで小さいサックバックを設定し、溶融粘度の低い材料では素早く大きめのサックバックを設定するイメージです。一般に小さすぎるとハナタレ、大きすぎるシルバーの原因になります。

実際の設定画面はこんなイメージです。

スポンサーリンク


TOP

 

2.成形条件の考え方

先ほどの説明のように 

1)溶かして 

2)流して 

3)固める

という、それぞれの工程のパラメーターが成形条件ですので、一定のセオリーに基づいて適切な条件を決めなくてはいけません。

それぞれの工程で決めなくてはいけない代表的なパラメータとは以下のようになります。

 

1) 樹脂を溶かす:  

 ①シリンダー温度 :樹脂を溶かす温度を設定する

 ②計量条件    :射出する樹脂を溶かして計るプロセス

 ③サックバック  :計った溶融樹脂の内部圧力を緩和するプロセス

 

2) 樹脂を流す:    

 ①射出条件    :樹脂を流す第1段階で主に充填させるプロセス

 ②保圧条件    :樹脂を流す第2段階でヒケなどを防止するプロセス

 

3) 樹脂を固める:  

 ①金型温度    :溶融樹脂を冷やして固めるための温度を設定する

 ②冷却時間    :溶融樹脂を冷やして固めるための時間を設定する

 

それでは次ページからそれぞれの設定の仕方をひとつひとつ見ていきましょう。

 

スポンサーリンク


 

TOP

成形機の基本操作

成形条件を作る為には当たり前ですが、実際に機械が操作できなくてはなりません。ここではJSWの成形機を例に基本的な操作方法を説明します。

スポンサーサイト


まず操作モードという考え方があります。

 

写真右側に並んでいる四角いボタンの一番上の列になります。

左側の○マークのボタンが切モード、その右が準備モード、その次が手動モード、そして半自動モード、自動モード、最後が自動のスタートボタンになります。それぞれの説明をします。

① 切モード: これは操作ができませんという状態です。何かの異常などで成形機が止まってモーターが止まってしまうと、一旦この“切モード”にしないとモーターがONにできません。面倒くさいかもしれませんが“切モード”でない状態でモーターがONになると成形機が急に作動して事故などが起こることを防ぐ仕組みですので仕方がありませんね。
② 準備モード: 入力されたパラメータなどに関係なく、低速で成形機が動作するモードです。ただし型開閉位置などのパラメータは有効です。金型交換などの段替えの時に使います。
③ 手動モード: 入力したパラメータ通りに成形機が動作します。ただしあくまで手動ですから人がスイッチを操作して成形機を動かすモードになります。
④ 半自動モード: 成形機が半自動で作動します。ここでいう半自動は、スタートさせると型閉じから始まって成形動作を行い、最後に型を開いて製品を突き出すという動作をして成形機が止まります。つまり1サイクルだけ成形機が動作するというモードになります。
⑤ 全自動モード: 量産など用いるモードで、一旦スタートさせるとずっと成形を続けます。もちろん異常があれば止まりますし、設定数量の成形が終われば自動で止まります。

 

そして動作させるためにいくつかのスイッチがあります。

左上のスイッチが型開閉スイッチ、その右が射出装置の移動スイッチ、左下のスイッチがイジェクターの突出し戻しスイッチ、その右が射出・計量スイッチ、その右のボタンがサックバックボタンです。それぞれの説明をします。

① 型開閉スイッチ: 可動側プラテンを動作させて、金型を開閉するためのスイッチです。
② 射出装置移動スイッチ: 射出装置自体を前後させるスイッチです。
③ 突出し戻しスイッチ: イジェクターを突出動作と戻す動作を行うスイッチです。
④ 計量・射出スイッチ: スクリューを回転させて計量を行ったり、前進させて射出を行うスイッチです。
⑤ サックバックボタン: サックバック動作を行うボタンスイッチです。

これらのモードとスイッチを用いて成形機を作動させることになります。

例えば金型の動作確認では低速の準備モードに設定しておいて、型開閉スイッチで金型を開いたり閉じたりして、突出しスイッチでイジェクターの動作を確認したりします。

スポンサーサイト


TOP

 

射出成形機の動作について

次に成形機の動作を順に追って、どのような工程が行われているかを確認しましょう。

スポンサーサイト


 

成形機は型締装置と射出装置で構成されているため、それぞれの工程がどちら側の装置で行われているかというのも理解する必要があります。それでは順を追ってみていきましょう。

①型閉じ : 成形機が金型を閉じる(型締め装置側の動作)

②型締め : 閉じた金型に圧力をかけて保持する(型締め装置側の動作)

③射出 : 計量しておいた樹脂を金型内に射出する(射出装置側の動作)

④保圧 : 射出終了後に継続して材料に圧力を加える(射出装置側の動作)

⑤冷却と計量 : 冷却は金型を閉じたまま一定時間保持する事。この間に次の射出に使う材料を計量する(冷却は型締め装置側、計量は射出装置側の動作、一般的には冷却が終わっても計量が終わらないと次の工程には進めない)

⑥型開き : 金型を開く(型締め装置側の動作)

⑦突出し : 製品を突き出して取り出す(型締め装置側の動作)

この一連の工程を繰り返して製品は作られます。成形条件を考える場合はこの流れを頭に入れておかないと混乱するのでよく覚えておきましょう。

 

スポンサーサイト


TOP

1.射出成形ってなにしてるの?

射出成形とは樹脂材料を

  1) 溶かして

  2) 流して

  3) 固める

という作業を成形機と金型が行い、成形品という製品を作っています。

スポンサーサイト


上の図は射出成形機のシリンダー部を簡単に図解したものになります。この図を確認しながら以下の説明を見てください。

まず 1) 溶かして については、樹脂の材料であるペレットがホッパーから投入され、それがスクリューの回転でシリンダー先端部側へ運ばれます。ペレットがスクリューの圧縮部というところを通るときにシリンダーから熱を受けながらペレット同士がこすりあわされて発熱し(せん断発熱)、溶けていきます。この溶けた樹脂はスクリューヘッドを乗り越えてシリンダー先端部にためられて次の射出に使われる材料となります。この一連の工程を計量工程と呼びます。

次に 2) 流して については、計量工程で溶かされてシリンダー先端部にためられた樹脂をスクリューを前進させることにより金型内へ流し込んでいく工程で、射出工程と保圧工程のふたつに分けられます。

最後に 3) 固める については、金型は温調機で一定の温度に保たれていて、金型内に流れ込んだ溶けた樹脂は金型に熱を奪われて固まっていきます。冷やされて固まって成形品が完成するという工程になり、この工程は冷却工程と呼ばれます。

 

この 1)溶かして 2)流して 3)固める という作業を成形機が行うために、機械にどのように動作するかを指示するパラメーターを入力してやる必要があります。この入力されたものがいわゆる成形条件になります。

 
スポンサーリンク


TOP