ゴムの射出成形について




このサイトは樹脂の射出成型の条件出しの基本的な考え方を説明するために作ったサイトですが、ゴムについてもちょっとだけ説明しようと思います。

ゴムの部品は射出成形やプレス成型、押し出し成形などで作られますが、ここでは射出成形について説明します。

まずは樹脂の射出成形とゴムの射出成形での相違点をいくつか説明します。

①まず、一番大きな相違点は樹脂は”流して”、”冷やして”、”固める”のに対して、ゴムは”流して”、”焼いて”、”固める”という点です。樹脂で言うところの熱硬化樹脂と同じような工法になります。ですからゴムの射出成形に用いる金型は160度とか180度などの高温になっています。その高温の金型から取り出された製品も成形直後はとても熱く触るとやけどするぐらいです。イメージで言うとタイ焼きやもみじ饅頭を作っているようなものだと思います。そのためサイクルタイムは樹脂の射出成形と比較すると極端に長いものになります。

②次に、材料が違います。まず形状的には樹脂材料はペレットと呼ばれる粒状の材料ですが、ゴムはリボンやテープと呼ばれる帯状の材料を用います。40㎜~50㎜程度の幅で、厚みが8㎜~10㎜程度が一般的のようです。そして樹脂の材料は基本的には放っておいても劣化しませんが、ゴムの材料には賞味期限があります。すなわち放っておくと使えなくなるということです。これはゴムは焼いて固めるといいましたが、焼くという工程は、加硫と呼ばれ化学反応を起こさせているためです。常温で放置していても、材料の中では少しずつ化学反応が進んでいき、だんだん使えなくなるというわけです。

③そして3つ目はアンダーカットを無理抜きすることができるという点です。ゴムは焼き固められると化学反応が起きて固まりますので、その固まった形状をある程度記憶したような状態になります。そこで無理やりアンダーカットになっている部分を金型から無理抜きしても、無理抜き時には変形するものの脱型後もとの形状に戻るというわけです。まあ、限度はありますが・・・

④4つ目にゴムはバリが出ます。ゴムは金型内で圧力と熱を受け加硫という化学反応が起きて固まっていくのですが、その途中で一度流動性が高い状態になります。この時にどうしてもパート面から材料が漏れてしまってバリになってしまいます。金型の加工精度をかなり高くして取り数を減らしてやればバリなし成形というのもできないことはないですが、量産性が極端に落ちますので一般的には採用されません。

これらの相違点を踏まえたうえで、成形条件の作り方を説明していきたいと思います。

 

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