5.補足説明

成形条件に関してできるだけ簡単に説明してきましたが、ここではもう少しレベルアップするためのヒント的な補足をしてみたいと思います。

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①射出条件の段数について

これまでの説明では2段(ゆっくり入れてスピードアップ)を説明してきましたが、他にもいくつかのパターンがあります。

最後に1段追加して保圧切替位置の直前でスピードを落とす。これは保圧切替位置を安定させる効果があります。

またスプルーランナーが長い時などは最初に1段追加して最初速いスピードで入れ、ゲートのところで減速し、そこからまた増速するという方法もあります。

 

②保圧条件の段数について

これまでの説明では2段(はじめ高く、その後低く)を説明してきましたが、他にもいくつかのパターンがあります。

バリが気になるときなどは保圧1段目を低めにして、2段目でしっかり保圧をかけて3段目で低くかけるという方法があります。

また塗装品など残留応力が気になる成形品では保圧を4-5段使用し、徐々に圧力を下げていくという条件を作ることもあります。

 

③パージ(材料替え)について

パージに関していくつかの考え方を覚えておくとよいと思います。

ひとつ目はノズルあたりに残っている材料を置換するには速い速度で少量のパージを繰り返し行うことが有効であるということです。

ふたつ目はスクリューなどに残っている材料を置換するためには背圧を最大にしてパージすることが有効であるということです。

そして温度条件も大事です。基本は前の材料の温度でパージをして材料を入れ替えてから、次の材料の温度にするというのが大事だと思います。またスクリューにこびりついた材料を取り除くために、前の材料をしっかり入れ替えた後に今度は温度を下げてから、ガラス繊維入り材料などのパージ材でパージするという手もあります。

材料替えで困ったときは思い出して試してみてください。

 

④計量条件について

きちんと計量するという事は射出する材料の量をきちんと管理するという事になり、成形を安定させるうえで重要な要素となります。そのための手段として計量の最後5mmぐらいで回転数と背圧を大幅に小さな値(通常条件の半分以下)で設定してあげることが効果があります。

高速で走っている車より低速で走っている車の方が、決められた位置できちんと止まれることと同じ理論です。

 

⑤残量について

残量はクッションとも呼ばれ、射出と保圧工程が終了した時点でシリンダー先端に残っている溶けた樹脂の量をいいます。この量はできるだけ小さいほうがよく一般に3-5mm程度にしておくべきだといわれます。

その理由はこの残量は前のサイクルの為に溶かした樹脂の残りですので多いと熱をよりたくさん受けた樹脂が次の射出に多く混ざるという事になりますので、材料の熱劣化に関する不良の原因になることがあります。

ただし射出と保圧の工程はその圧力を、溶けた樹脂を介して金型の中に伝えてますので、残量がゼロになると圧力は伝わらなくなりますので少しは必要という事になります。
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不具合対策事例

不具合対策の事例として、私が経験したことのあるあまり一般的ではない事例をまとめておきたいと思います。

少しづつ工事中です 笑

 

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・絞(シボ)のメンテナンス、艶ムラ対策など

シボは長い間、成形をしていくうちに樹脂のガスやヤニが表面にこびりついて、それが原因で製品のシボ面に艶ムラなどを発生させることがあります。私が経験したのは梨地のシボでした。こびりついたヤニなどは普通に洗浄しても取れません。そこで特殊な洗浄剤を使用することになります。海外で働いていた時は日本から取り寄せていました。

住鉱潤滑剤 スプレー(ガス ヤニ除去用金型洗浄剤) スミモールドDR 420ml 【 1232690 】 SMDDR 【 洗浄剤 パーツクリーナ 】 【 クリーナースプレー 】

ある製品ではシボ面を見ても汚れていないように見えても、これで洗浄すると不具合がなおるということがありました。

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異物(コンタミ、白点、黒点)

 

異物不良は色々な原因が影響する不具合現象のひとつです。発生源で大きく分類すると①材料と一緒に持ち込んでいるもの、②スクリューの中で材料が炭化するなどしてこびりついたもの、③さらに金型が開いた時に付着するものなどが考えられます。それぞれ仮説を作って対策を打ち効果を確認していくという地道な不良対策活動が必要になります。

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まず材料と一緒に持ち込むという視点では、工場が汚くってゴミや汚れが入ってしまうというのは論外ですが、意外と乾燥機やホース、ホッパーなど材料の輸送経路が汚れていることがあります。ですから材料の輸送経路は良くチェックしましょう。また紙袋の材料ですと開封時に紙や糸等の混入が考えられます。それともう一つは材料の粉です。ペレットに付着したこの粉が溶融せずに異物として出てくることもありますので、このような場合は粉取り装置などの設置が効果的です。

 

次にスクリューの中の汚れが剥がれて出てくるケース。これに関しては材料の炭化によるスクリューへのこびりつきを防ぐために、まず材料の熱履歴を極力抑える条件の作り込みが必要になります。例えば乾燥を高温でやりすぎない、シリンダー温度を高くし過ぎない、計量の回転数を早くし過ぎない、背圧をかけ過ぎない、クッション量は極力少なくする、計量待機を使う等です。なぜならスクリューにこびりつく汚れは、炭化物が一般的でこの炭化物は材料が熱によって分解されて発生するものだからです。ただしシリンダー温度は低すぎると材料の溶融粘度が高くなりますのでこびりついた材料を連れてきやすいという欠点もありますので要注意です。

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すでに汚れがこびりついている場合や異材がうまく排出されない等の不具合は、スクリューを抜いて掃除すれば手っ取り早いですが、実際問題として特に大型機のスクリュー清掃などはあまりやりたいものではありません。よってパージによる清掃が一般的かと思われます。パージ条件としてはノズル部などの材料置換には“少量を高速で何回も“が基本だと思います。スクリュー部では”できるだけ背圧を上げる“ことが基本になると思います。この考え方に加え、パージ時の温度をどうコントロールするか、パージ材は何を使うか等の工夫が必要になってきます。パージ材にはガラス繊維などで物理的に汚れを落とすものや、化学的に汚れを落とすものなどがあるそうなのでメーカーと相談していろんなものを試すと良いと思います。時間が許せばですが、基本的には化学的なパージ材で汚れを浮かせて、物理的なパージ材でこそぎ落とすという考え方が基本かと思います。

 

また豆知識ですが、材料置換を行った後、シリンダーのヒーターを切ると汚れがスクリューから剥離して次の生産が大変になると聞いたことがあります。このような場合にはヒーターを保温モードにしておくと良いようです。それと分解を防ぐために窒素を供給して酸化を防止するという手段もあるそうです。

 

最後に金型への汚れの付着ですが、まずは成形機周りの環境を整備することが最初だと思います。それから次に、どこから汚れが来るのかの仮説を立てて検証していく作業になると思います。例えば取り出し機のレールなどから汚れが落ちてくる、供給されるエアーが汚れている、金型のアタリ面が摩耗して金属粉が発生するなどの事例があります。

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不具合対策の考え方

 

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不具合対策 艶ムラ

艶ムラは溶融樹脂が金型に接触してその表面状態を転写するときの状態の差によって発生します。例えば肉厚差があったりすると肉厚部の方が長く保圧が効くのでより転写状態が良くなり肉薄部との差が出たりします。一般的に確認すべき項目は以下の通りです。

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・シボの種類によって艶ムラが目立つ時と目立たないときがあります。梨地などを例にとると深めのシボの方が目立ちにくいですし、またグロスは高いほうが目立ちにくいです。

・流動バランスも大きく影響を与える要因です。キャビごとにできるだけ差が無いようにしないといけません。なぜならどちらかにばかり流れていくという事はその反対側は流動が止まっているわけで溶融樹脂の固化が進みます。固化が進んだキャビと、進んでいないキャビでは転写する為にかかる圧力に差が出るのはお分かりいただけると思います。

・流動バランスにも関連しますが、ガス抜きの状態も転写に影響します。ガスが抜けないとミクロのレベルで樹脂とキャビの間に空気が入り込むことになり、転写しにくくなります。

・前出のように肉厚差も艶ムラの原因になります。先ほど説明したように肉厚部の転写圧力が肉薄部より高くなる為です(場合によっては逆にヒケが大きくなる為、転写しづらいことも)。

・意外と影響するのが金型温度の差です。傾斜ブロックなどに蓄熱するとその部分だけ周りより温度が高くなり転写が容易になる為、周りとの差が出ることになります。全体を低めに、冷却を長めにとることが出来れば軽減する方向になることが多いです(型温は高めがいい場合もあります)。

・射出条件面では射出の速度や保圧の大きさと時間が大きく影響します。これらは直接キャビ内の転写に対する圧力に影響を与えるからです。例えば保圧時間が長すぎたりするとゲート部の艶が変わったりします。現実的には上記に記載されている原因をできるだけ排除した上で、これらの条件を振って適切な条件設定を目指すという事になると思います。

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不具合対策の考え方

 

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不具合対策 ヒケ

ヒケは樹脂が固まるときの収縮の程度が周りの場所と異なる為、その場所が凹んで見える現象です。成形トライなどで条件を作っている場合は色々な角度から原因を想定する必要があります。一般にヒケにかんして確認すべき項目は以下の通りです。

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・保圧圧力そのものが不足している場合がもっとも可能性が大きいです。ただしゲートシールする前に保圧が終わってしまうというような保圧時間が短いという事もあり得ます。さらに製品末端部のヒケなどでは射出速度が遅く溶融樹脂が固化してしまって保圧が届いていないという現象もあり得ます。製品の状況と設定した射出速度、射出保圧切替位置、保圧圧力、保圧時間などをよく考慮して対策の方向を見出しましょう。無理に保圧圧力だけを上げていきますとバリや製品の金型への位付きなどの原因になりますので要注意です。

・製品形状の問題も大きいです。基本板厚が厚すぎるとどうしてもヒケますし、基本板厚に対して基本板厚の0.5倍以上の板厚のリブなどがあると、どうしてもヒケやすいです。ボス裏も同様です。このような場合は形状変更を検討する必要がある場合が出てきます。

・その他の条件面では一般論として樹脂温度は低めがヒケにくく、金型温度も低めがヒケにくく、射出速度は遅めがヒケにくいです。ただしこれらはすべて程度問題で溶融樹脂の流動に影響が出るほど下げてしまうと逆効果になると考えられます。さらに背圧も高めが溶融樹脂の密度が上がって良い傾向にあります。また経験上、薄板形状の製品はできるだけ射出で製品を末端まで充填させた上で、保圧に切り替えるのが効果的であると感じています。

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不具合対策 シルバーストリーク

シルバーストリークは溶融樹脂が流れていくときにガス(エア)を巻き込むことにより発生します。色々な要因があり原因究明が難しい不良現象のひとつです。とにかく材料を溶かす工程から流す工程までの各要素を細かく検証して原因を追究する必要性があります。一般的に確認すべき項目は以下の通りです。

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・材料の乾燥不足により水分が溶融樹脂中で気化している。

・背圧が不足することにより樹脂材料を溶融するときにガスをうまく輩出できていない。逆に背圧が高すぎてせん断発熱が高熱になり材料が分解しガスを発生させていることもある。よって背圧を疑ったときは大きく振って検証するのが大事です。

・樹脂温度の設定が高すぎて材料が分解、もしくはシリンダー容量が大きすぎて滞留により材料が分解する。

・スクリュー回転が速すぎたり、サックバックが大きすぎてエアを巻き込む。

・射出速度が速すぎてゲートなどでせん断発熱を起こしガスが発生。もしくは速すぎることによりキャビティ内のエアを巻きこむ(特にリブやボスなどは要注意)。

・離型剤なども型内で揮発してシルバーストリークの原因になることがあります。

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不具合対策 ショートショット

ショートショットの対策について一般論ですがまとめてみます。ショートショットは何らかの原因で溶融樹脂が金型の末端部まで流れる前に固化してしまう現象です。成形トライなどで条件を作っている場合は色々な角度から原因を想定する必要があります。一般に確認すべき項目は以下の通りです。

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・金型温度が低かったり、樹脂温度が低い(溶融樹脂が途中で固まる)

・射出速度が遅かったり、保圧が低すぎる(溶融樹脂が途中で固まる)

・スプルー、ランナー、ゲートのサイズが小さい、長すぎる(流れるときの抵抗が高すぎる)

・リブなどの形状部でガス抜き設定がされていない

 (空気がたまって溶融樹脂が入れない)

・射出圧力設定が低すぎたり、そもそも計量が足りていない

(きちんと設定速度が出てないか、材料がそもそも足りていない)

・ノズル部で樹脂が漏れていたり、逆流防止リングで逆流している

(樹脂が金型に流れていかない)

・ガスの抜けが悪かったり、型締め圧が高すぎたり、射出速度が速すぎる

(この場合はガス焼けに近い現象)

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個別の不具合対策

不具合の現象ごとに、その原因と対策を考えてみたいと思います。以下に一般的な不具合について記載してあります。

 

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・ショートショット

・シルバーストリーク

・ヒケ

・艶ムラ

・異物(コンタミ、白点、黒点)

ただいま少しづつ工事中(笑)

 

また不具合対策はネットなどで検索しても色々と調べることが出来ると思います

     西日本プラスチック製品工業協会の不良対策ページ

     ユーエムジーエービーエス株式会社のトラブルガイド

 

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不具合対策 考え方の原則

成形における不具合を対策していく上で、私がとても大事な考え方だと思っていることを二つ説明します。

 

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ひとつめは成形の不具合の原因は成形条件だけではないという事。すなわち不具合対策を考えるときには

 ・材料(Material)

 ・金型(Mold)

 ・成形設備(Machine)

 ・成形条件(Method)

 ・作業者(Man)

といういわゆる5Mの視点で考える必要があります。ひとつの原因と決めつけてしまうと周りが見えなくなってよく失敗します。

 

ふたつ量産工程における製品の品質不具合は、今まで良品が取れていたわけだから、何かの変化が発生してきたとえるべきであるということです。

よってやみくもに条件をつつくのではなく、上記5Mについて変化点がないかを探ることを最初に行う必要があります。

具体的な不具合対策は個々の現象に応じて行う必要がありますが上記の2点を忘れないで行うと良いと思います。

それでは次のページから個別の不具合現象毎に見ていきましょう。

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4.不具合対策の考え方

実際の工程では日々色々な不具合が発生して、その対策に追われることがあります。ここでは3つの観点から不具合対策について述べてみたいと思います。

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1)考え方の原則

まず最初に考え方の原則をふたつ述べさせていただきます。

 

2)個別の不具合対策

不具合の現象ごとにその原因とどのように対策するかの考え方を記載します。

 

3)不具合対策の事例

私が経験したあまり一般的ではない不具合事例に関して記録しておきます。

 

それでは次のページでまず考え方の原則を説明します。

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